「無添加化粧品」って聞くとお肌に優しいイメージを持つ方もいらっしゃると思います。
無添加化粧品とは、特定の成分を悪者(刺激が出るとか)にして、その成分を配合していない化粧品のことを言う場合が多いですが、特に定義がある訳ではありません。
悪者にされる成分のナンバー1は「防腐剤」で特に「パラベン」を悪者にして、パラベンを配合していない「パラベンフリー」を謳う会社が多いと思います。
では果たしてパラベンは悪者なのでしょうか?
今回はエビデンス(科学的根拠)を元にお伝えさえていただきます。
防腐剤の目的
そもそも防腐剤は化粧品が腐ってしまうのを防ぐために配合されます。
化粧品が腐る原因となる「菌」や「カビ」は、化粧品に配合されている有効成分や保湿成分が大好物なので、良い化粧品であればあるほど、菌やカビが繁殖してしまいます。
それら菌やカビの繁殖を防ぐ目的で防腐剤が使われます。
特に黄色ブドウ球菌に注意
少し「嫌な話」をします m(__)m
空気中には常に菌が存在します。
また、お肌にも「常在菌」が存在し、その数は1㎠あたり数十万~数百万匹いると言われています。
常在菌の中で悪玉菌と言われる「黄色ブドウ球菌」は炎症を引き起こす菌です。
当然ながら、どんな人のお肌にも黄色ブドウ球菌は存在します。
この黄色ブドウ球菌がお肌からこぼれ落ちて、化粧品に入ってしまうことは日常的に起こります。
そして、化粧品の有効成分や保湿成分をエサにして、どんどん繁殖してしまうことは当然ながら考えられます。
その黄色ブドウ球菌が繁殖した化粧品を使ったら、お肌は炎症を起こしてしまいます。
せっかく化粧品を使って、お肌をキレイにしようと思ってるのに、炎症を引き起こしてしまうなんて本末転倒ですよね?
なので、菌やカビの繁殖を防ぐための防腐剤は「とても大切な成分」なのです!
ここから少しだけ専門的な話
防腐剤が菌の繁殖を防ぐメカニズムは?
菌の
・核酸合成を抑制
・細胞分裂を抑制
・タンパク質合成を抑制
・細胞膜合成を抑制
・シグナル伝達系を抑制
・呼吸を抑制
です。
※覚える必要はありません。
これは、どんな防腐剤でも「同じメカニズム」で菌の繁殖を防ぎます。
パラベンだろうが、
フェノキシエタノールだろうが、
安息香酸だろうが、
同じです。
そして、防腐剤には分類されませんが「防腐効果」がある、
BG、
DPG、
ペンチレングリコール
カプリリルグリコール
なども「同じメカニズム」で菌の繁殖を防ぎます。
無添加化粧品で「パラベンフリー」を謳っている製品は、パラベンを配合せずに、その代わりにフェノキシエタノールを配合することが多いです。
「防腐剤フリー」を謳っている製品は、防腐剤の代わりに、BGやDPG、ペンチレングリコールなどを配合することが多いです。
でも・・・
もし、パラベンがお肌に悪いというならば・・・
もし、防腐剤がお肌に悪いというならば・・・
その代わりに配合してる成分も「同じメカニズム」で菌の繁殖を防いでますので、お肌に対しての「影響も同じ」になります。
なので、仮にパラベンがお肌に刺激があるのだとしたら、その代わりに配合した成分にもパラベンと「同様の刺激がある」ことになります。
パラベンを悪者にしておいて、同じメカニズムの他の成分を配合するのってどうなの?というお話です。
もう少しだけお付き合い下さい。
パラベンは非常に微量で菌(黄色ブドウ球菌)の繁殖を防ぐ効果があります。
・フェノキシエタノールに比べると、約2分の1
・BGに比べると、約15~30分の1
・DPGに比べると、約20~40分の1
・ペンチレングリコールに比べると、約20分の1
の量で菌の繁殖を防ぐことが出来るのです。
反対に、パラベン以外の成分で防腐効果を出すためには、「2~40倍」の量を化粧品に配合する必要があります。
つまり、パラベンフリーの化粧品には、パラベンと同じメカニズムの他の防腐剤が「2倍以上」入ってる。
そして防腐剤フリーの化粧品には、パラベンと同じメカニズムの防腐効果がある成分が「15~40倍」入ってるってことになります。
だったら、微量で菌の繁殖を防げるパラベンを使って、その分他の有効成分や保湿成分を多く配合した方が、お肌は喜びます!
少し長くなってしまいましたが、今回はパラベンは悪者どころか、とても優秀な成分ということをお伝えさせていただきました!