今回は「意外と知られていない保湿が必要な理由」をお伝えさせていただきます。
皮膚の役割
皮膚の役割の1つに「バリア機能」があります。
空気中にはウイルスや細菌、花粉、PM2.5など、様々な体にとって「害のある物質」が飛び交っており、それらが体内に入ってこない様にするために皮膚というバリア機能が存在しています。
具体的には、
・皮脂膜
・天然保湿因子
・細胞間脂質
の3つが皮膚に存在することで、健康な皮膚の状態を保つことができて、「害のある物質」が体内に侵入するのを防いでくれます。
でも、冬になると上記「3つの成分が減少」してしまい、皮膚のバリア機能が弱まってしまいます。
冬にバリア機能が弱まる理由
まず、皮脂膜は自らが分泌する「汗」と「皮脂」が混ざって作られるものなので、冬になると汗も皮脂も分泌量が減ってしまうため、皮脂膜も減少してしまうことは想像できますよね。
では、天然保湿因子と細胞間脂質は冬になると何で減ってしまうのか?
天然保湿因子と細胞間脂質は皮膚の「ターンオーバー」の過程で作られる物質です。
具体的には、
表皮の角質層の下の層である「顆粒層」には、
・ケラトヒアリン顆粒
・層板顆粒
というものが存在しています。
そして、ケラトヒアリン顆粒と層板顆粒は、顆粒層から角質層に移行する際に、
・ケラトヒアリン顆粒→天然保湿因子
・層板顆粒→細胞間脂質
に変わります。
つまり、ターンオーバーが正常に行われることで、天然保湿因子と細胞間脂質が作られるのです。
でも、お肌に水分が足りない乾燥状態だとターンオーバーの周期が遅くなってしまうのです!
ターンオーバー周期が遅くなると、天然保湿因子や細胞間脂質が作られにくくなってしまうので、皮膚のバリア機能が弱まってしまうのです。
乾燥するとターンオーバーが遅くなる理由
ターンオーバーに必須の「カリクレイン」という酵素があります。
このカリクレインという酵素が正常に働くことによって、余分な角質が分解されてターンオーバーが正常になります。
でも、カリクレインという酵素は、お肌に水分が不足していると「働けなくなる」という性質があります。
(魚みたいなイメージ)
なので、乾燥すると
①カリクレインが働かなくなる
②ターンオーバーが遅くなる
③天然保湿因子や細胞間脂質が作られにくくなる
④バリア機能が弱まる
⑤ウイルスや細菌などが侵入しやすくなる
⑥風邪などの感染症にかかりやすくなる
という悪循環を引き起こしてしまうのです!
保湿が必要な理由
お肌が乾燥するから保湿をすることは、もちろん大切です。
それと同じくらい大切なのは、「お肌に水分を与えてカリクレインを働かせる」ために保湿をすることです。
カリクレインが働くことでターンオーバーが正常になり、皮膚のバリア機能が強化されて、風邪などの感染症を防ぐことに繋がります。
風邪を引かないようにするためにも、お客様・患者様にしっかりと保湿するようにお伝えしましょう!